歯周病治療・再生治療
歯周病について
歯周病とは?
40歳以上の成人のうち、5人中4人以上が歯周病にかかっているといわれ、歯を失う最も大きな原因となっています。
歯周病はその進行の程度によりいくつかの治療が適用されますが、主な治療の流れをご説明します。
1.初期治療
ポケットの深さを測定し、口腔内写真撮影を行います。(詳しくはこちら⇒)
次にプラーク・歯石の除去を行います。(スケーリング&ルートプレーニング・ブラッシング)
スケーリングは歯の表面や根の表面のプラークや歯石を機械で取り除くことです。
ルートプレーニングは歯根の表面がざらざらしたり、歯石で満たされていたり毒素や微生物で汚染された表層を除去する方法です。このことにより、歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅く(2~3㎜)維持されればメインテナンスに移行します。
2.二次治療(歯周外科手術、再生治療)
歯周病の進んだ部位のみに行われます。
基本治療で一部ポケットの深さが改善されずポケット内で細菌が生息し、ブラッシングで除去できない状態や歯周病が進行してしまった状態に対して、外科的にポケットの深さを減少させる手術があります。
また、特殊な材料を用いて部分的に失われた骨を再生させる手術もこの時期に行われ、手術はそれぞれの病態にあった方法が適応されます。歯周組織が改善され、ポケットの深さが浅く(2~3㎜)維持されれば修復治療に移行します。
外科手術を行った後は少なくとも1週間~10日間禁煙していただきます。
重度の歯周炎の方の大半が喫煙者です。せっかく頑張って外科手術をしても、喫煙者の再発率は高く、できれば禁煙して欲しいと思っています。私、たばこが大嫌いなんです!!歯周治療を志す者として、たばこは天敵なんです。
勉強会で知り合ったK先生が、自分が金持ちだったらJTを買い取ってぶっ潰すんだけど・・・
全身の健康にとっても、歯の健康にとっても明白に悪いとわかっているのにどうして社会悪が許されているのか不思議に思う。と鼻息を荒くおっしゃっていて、おもしろいこと言うなあと感心したものです。インプラント治療や歯周外科手術において非喫煙者に比べて明らかに予後が悪いです。つまり再発しやすいです。それを覚悟の上でお吸いになるのであれば仕方な いですが、高い治療費を払い、痛い思いもし、頑張ったのに悪い結果になってしまうのはこちらも切なくなるので、私はたばこが大嫌いなんです!!
できればいくら自己責任だからと患者様が納得されても、喫煙者に歯周外科手術やインプラントを
したくないのが本音です。
3.修復治療
欠損補綴としてのブリッジや義歯の作成、また動揺歯の連結のための歯周補綴物の治療を行います。
4.メインテナンス
歯周病の再発防止と健康の状態を維持してゆくために定期的に
検査と予防処置を行うことが必要です。
歯周病のチェックと専門家によるプラークや歯石の除去などの
クリーニングを行う事が何よりも重要です。
どのような治療をたどっても、行き着く先はメインテナンスになります。
歯周組織再生治療について
歯周治療の目的は、病気の進行を止め健全な状態に組織を回復させ、それを維持する事です
もしまだ病気が初期の段階であれば歯の表面を清掃することで、手術をしなくても組織の炎症をなくすことができますが、歯周病が中期以上に進行し、深い歯周ポケットができている場合、手術が必要となることがあります。
手術では歯周ポケットを浅くし、感染した組織を取り除く事により、健康な状態になります。しかし歯肉は以前より低い位置に下がってしまうため歯が長くみえるようになります。
近年まで、歯と骨を結ぶ繊維を再生できる方法はほとんどありませんでした。しかし1980年代以降、
新しい研究が開発され失われた歯周組織をよみがえらせる再生治療が成果をあげるようになってきました。
歯周組織再生療法には、骨移植術、GTR法、エムドゲイン法があります。
1.骨移植術
歯周病が進行し、咬合性外傷により破壊された骨槽骨の垂直性骨欠損部に移植材料を充填することにより歯周組織の再生を図る方法です。移植材として、自家骨(自分の骨)、他家骨(他人の骨)、異種骨(牛などの骨)、人工骨(ハイドロキシアパタイトやβ-TCP)があり、それぞれ骨再生能力に特徴があります。
2.GTR法
1980年代に入り、歯周外科手術後の骨槽骨欠損部に生体親和性が高く、かつ細胞遮断効果やスペース保持能力のある膜を留置し、骨欠損を被覆する術式や材料が開発されました。この方法により創傷治癒の場から上皮や歯肉組織が排除され、歯根膜、骨由来の細胞の遊走、活性化が起こり歯槽骨や歯根膜の再生を伴う歯周組織の再生が期待できます。
ゴアテックスGTRメンブレンは歯と骨を結ぶ繊維の再生による治療法を目的に開発された生体材料で、10年に及ぶ臨床実験からその安全性が確認されています。心臓外科手術など医科の用途にも使用される実績があります。
3.エムドゲイン法
エムドゲインゲルはスウェーデンのビオラ社で開発された歯周組織再生誘導材料です。
エムドゲインゲルの主成分であるエナメルマトリックスデリバティブは、子供の頃歯が生えてくる時にエナメル質だけでなく象牙質、歯根セメント質、歯槽骨や歯根膜の形成にも重要な働きをするたんぱく質です。
現在の科学水準に基づく高い安全性の確保の下、幼若ブタの歯胚から作られたもので、2008年5月現在、世界44ヶ国で使用されています。75万症例以上に使用され、副作用が一例も報告されていない安全な歯周組織再生材料なのです。